The Beatles / Hey Jude ('70)

ということで、ザ・ビートルズ 『ヘイ・ジュード』
ビートルズ・アルバムの中では、このジャケットが一番のお気に入りで、あれやこれやと僕の部屋に飾る LP の中で、最も頻繁に選んだ1枚でした。
メンバーの後ろに見える建物の入り口は、イギリスはアスコットにあったジョン・レノンのお屋敷。貫禄十分な 4人の表情ととても良くマッチした、風格と重みを感じるジャケットでした。
このアルバム『Hey Jude』は、シングル・カットされたヒット曲や、そのB面収録曲を集めたベスト盤。米キャピトル・レコードの要請により、アメリカ、カナダ、日本のみで発売されたものです。
ちなみに収録曲は...
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テーマ : '70年から'80年の洋楽
ジャンル : 音楽
Bob Dylan / New Morning ('70)

そして、ボブ・ディラン『新しい夜明け』
ジョージ・ハリスン『All Things Must Pass』('70)で取り上げられた「If Not For You」を含む、ボブ・ディラン 1970年代に入ってからの2作目です ('70年代 第1弾は『Self Portrait』)
キーボード・プレイヤーとしてアル・クーパーが参加していますが、ディラン自身がアルバム中 7曲でピアノを弾くという珍しさ。
そのせいもあってか、アルバムには、どこかしら落ち着き払った貫禄 … といった雰囲気が漂っています。'60年代を疾風のごとく駆け抜けてきたディランが、ここではグッと腰を落ち着けて制作にあたった様子が伝わってきます。
曲は、冒頭に挙げた「If Not For You」のようなポップ・フィールに溢れたものから、複雑なリズム構成とコード進行を持った「ジプシーに会いに行った:Went To See The Gypsy」、女性の妖しげなスキャット入りジャズ風ブルース・ナンバー「If Dogs Run Free」など異彩を放つものまで多種多様揃っていますが、僕の【お気に入りの3曲】は...
Mud Acres / Music Among Friends ('72)

マッド・エイカーズ『ミュージック・アマング・フレンズ』
ハッピー&アーティ・トラウムが、ウッドストックに住むミュージシャン達に声をかけ、彼らと共にトラディショナルなフォーク、カントリー、ブルーグラス、ブルース・ナンバーを気ままに演奏した瞬間を収めた『Music Among Friends』。バンド名は、マッド・エイカーズ(直訳すれば … ぬかるんだ土地)と名付けられました。
これは [ 似顔絵ロック ~ Portrait in Rock ] の yu-shio さんによる 【こちら】 の記事を拝見して思い出した1枚。
よし。これを取り上げよう … と思っていたら、またまた 【yu-shio さんのところ】 で 『小さな町の小さなライブハウスから』という本が紹介されているのに目がとまり、それを見た瞬間そそられ、即購入することと相成りました。
届いた本の頁を丁寧に捲り始めてみると、ウッドストックに3年間、実際に住んでいたという片山 明さんの、ウッドストックの町並み... ウッドストックに関わりの深いミュージシャン達... そして、そこに住む一般の人達やライブハウスを経営する方に対する、愛情に満ち溢れた言葉が懇々と綴られていました。【片山明/小さな町の小さなライブハウスから
主な登場人物は、ボブ・ディラン、ザ・バンド、ジョン・セバスチャン、マリア・マルダー、ロリー・ブロック等々。彼らへのインタビュー記事を中心に、それにまつわるこぼれ話や、関連ミュージシャンの詳細にまで内容は及んでいるので、読み応え十分。1度ならずとも 2度 3度と読み返したいものです。
さらに、その本からは、ザ・バンドや、エリック・カズ、ボビー・チャールズだけがウッドストックじゃないんだよ … そんなこともを教わり、今さらながらに、そうだったんだよな … と思い知ることとなりました。若かりし頃に聴いてピンと来ず手放してしまった、ハッピー&アーティ・トラウムや、ジョン・ヘラルドのアルバムを、今の心境でもう一度聴き直したくなってきました。
さて。この『Music Among Friends』は、先に述べたように、アーティ・トラウム作の「Mud Acres」を除いて、トラッド・ソングのカヴァーを集めたものです。オリジナルは全く聴いたことの無い曲ばかりですが、そのどれもが、何時聴いても僕の耳には新鮮に飛び込んできます。
それはきっと、ここに参加したミュージシャン達の、先人達に対する敬意と愛情がそうさせたのではないかと思います。1980年代初頭におけるケイト・ウルフのように、1972年という時代に、こうした音楽を演っていた連中が居たということに驚きを隠せません。
Going down to old old woodstock to feel the cool night breeze ... by Van Morrison
Tracy Nelson / Mother Earth ('72)

トレイシー・ネルソン 『マザー・アース』
これは [ 3度のメシよりCD ] の shintan さんによる 【こちら】 の記事を拝見して思い出した、トレイシー・ネルソンを擁するマザー・アースのラスト・アルバム『Mother Earth』
ボビー・チャールズが書いた曲と、前作『Bring Me Home』('71)でも大々的に取り上げていたエリック・カズ作品を中心に構成されています。
それら楽曲の素晴らしさは言うまでもなく、その底に流れる Soul/R&B フィールを漏らすことなく掬い取り、それを余す所なく十分に表現しきっているトレイシーの圧倒的な歌声には唯々気圧されるばかり...
ちなみに、このアルバム … 小さくてわかりづらいですが、犬ジャケです。
Malo / same ('72)

Malo/Malo
年々、暑さが厳しく感じるのは、地球温暖化のせいなのか... 単に自分の体力が落ちているせいなのか...。暑いっ 暑いっ … と汗かきながらも、夏が大好きな僕ですが、ここ数年はさすがに参りました。ですが、涼風が通り抜け、秋虫達の歌い声を耳にし始める時期になると、あぁっ。夏も もう終わりか … と、一抹の寂しさを感じてしまいます。
夏よ Come back to me! … という思いと共に取り出したのが、カルロス・サンタナの弟さん:ホルヘ・サンタナ率いるマロの 1st アルバム『Malo』
ロックにラテンのテイストを取り入れたのが、カルロス・サンタナであり、スティブン・スティルスであったりしたわけですが、マロの場合は、ラテンにロックのダイナミズムを取り入れた... なんだ、同じじゃないか … と思われるでしょうが、その辺りのニュアンスが微妙に違うのです。
ギターやヴォーカルなど、何か特定のものが極端に目立つのではなく、ホーン・セクション、パーカッション隊などが渾然一体となって織りなす原始的・熱情的・官能的なサウンドは、カルロスやスティルスのものとは異質の手触り。
あ~ちぃ~ちぃ~ あ~ちぃ~っ … と、体温が上昇すること請け合いです。
Stephen Stills / Stephen Stills 2 ('71)

戸惑いシリーズ 第3弾。スティヴン・スティルス 『スティヴン・スティルス 2』
1st ソロ『Stephen Stills』('70)と、バンド・サウンドを追求した『Manassas』('72)の印象が強烈すぎて、取り上げるのを戸惑った... というよりも、ためらってしまった、スティヴン・スティルスの 2nd ソロ『Stephen Stills 2』。その2枚の陰に隠れがちですが、そこはスティルスの演ることですから、もちろん佳曲揃いの内容になっています。
また、ヘンリー・ディルツ撮影によるアルバム・ジャケット … 車窓を通して雨降る外の景色を見つめるスティルスの横顔には惚れ惚れ。ついつい見とれてしまいます。
前作に引き続いて、エリック・クラプトンがゲスト参加。「さかなとさそり:Fishes And Scorpions」におけるクラプトンのプレイぶりは、前作の「Go Back Home」よりは控え目。
そのことよりも、僕の知る限り、クラプトンが 2枚以上のアルバムにゲスト参加したミュージシャンは … デラニー&ボニー、ジョージ・ハリスン、ザ・バンド、スティーヴン・ビショップ、フィル・コリンズ … といったあたり(逆に、彼らみんなが、クラプトンのアルバムにもゲスト参加、もしくは楽曲提供している)。錚々たる面々の中に、スティルスも名を連ねているということ自体が凄いことだな … と感心してしまいます。
その他、『Stephen Stills 2』と同年リリースの、ジョン・セバスチャン『The Four Of Us』に参加しているミュージシャン … ドクター・ジョン(key)、ポール・ハリス(key)、ダラス・テイラー(ds) … が、このアルバムにも参加しているのが興味深いところ。
クロスビー・スティルス&ナッシュ結成の折には、3人と交友を深めていたセバスチャンが、そこに加わるだろうと噂されていたようですから、そういった人脈からすれば、彼らの起用も自然な成り行きだったのかも知れません。
それにしても、CSN にセバスチャンが参加していたら、一体どんなサウンドを聴かせてくれたのでしょうか。斬新さを求めるよりも、ルーツに根ざした音楽を志向して、もしかすると、いきなり『Manassas』に近いアルバムを出していたような気がします。
それは、デイヴ・メイソン&キャス・エリオットに、ネッド・ドヒニーが参加していたら … という "もしも" と同じくらい、僕にとっては、とてもそそられる昔の噂話。あそこでこうして、ここでこうなって … などと想像していると、時間が過ぎるのもあっという間...
さて。アルバムの内容ですが、「Open Secret」「Ecology Song」や、バッファロー・スプリングフィールド「Bluenird」のリメイク「帰って来たブルーバード:Bluebird Revisited」など、ホーン・セクションを大胆に取り入れた曲が新機軸。スティルスが新しい試みにチャレンジしていることが良くわかります。
そんなスティルスから American Spirits なるものを、大いに感じるのでありました。
John Sebastian / The Four Of Us ('71)

戸惑いシリーズ 第2弾。ジョン・セバスチャン 『フォー・オブ・アス』
このアルバムの何に戸惑ったのかと言えば、冒頭の2曲「Well, Well, Well」「Black Snake Blues」や「Black Satin Kid」「Sweet Muse」における、ジョン・セバスチャンのロックンローラーぶり...。時にはシャウトしまくるセバスチャンには、あんぐり。
どこまでも優しく、ドリーミーなセバスチャンのイメージからはほど遠いその姿に、まず圧倒されてしまいます。
ですが、よくよく考えてみれば、前作『Real Live』では「Rooty Toot」「Blue Suede Shoes」などの R&R ナンバーを披露していたわけですし、セバスチャンのルーツを辿れば、その系統の音楽に突き当たることは十分予想されるのですが... 何しろ、このアルバムでは、ハードにロッキンするセバスチャンの歌声とサウンドが全体のほぼ半分を占めており、他のセバスチャン・アルバムとは全く異質の手触りを感じるのです。
それもセバスチャン、これもセバスチャンと理解しようと努力しつつ、やはり【お気に入りの3曲】は...