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Tim Hardin / Bird On Wire ('71)

Bird On Wire

ティム・ハーディン 『バード・オン・ワイアー』

もともとティムは「わたしはジャズ・シンガーだ」と言っていたそうですが、このアルバムにもクロスオーオーバー/フュージョンという言葉が一般的になる前のジャズ系ミュージシャン達が顔を揃えています。特にマイク・マイニエリとのつきあいは古く、ティムが1968年にリリースした『Tim Hardin 3 / Live In Cocert』ですでに共演を果たしているようです(これは未聴なのですが、評判が高くぜひ聴いてみたい盤の一つです)

SSW とジャズ・ミュージシャンの共演というと、この翌年の1972年、ジョン・マクラフリン(g)、マイケル・ブレッカー(sax)が参加したジェイムス・テイラーの『One Man Dog』。ウィルトン・フェルダー(b)、トム・スコット(sax)参加のジョニ・ミッチェル『For The Roses』が知られるところ。早熟と言われたローラ・ニーロでさえコーネル・デュプリー(g)、チャック・レイニー(b)(この2人はどちらかというとソウル系か)参加の『Christmas And The Beads Of Sweat』が1970年ですから、ティムはずいぶん早い時期からジャズへの意識が強かったように思われます。


もう一つ注目したいのが、エレクトリック・サウンドの導入。

ティムの初期作品を網羅した素晴らしい編集盤『Hang On To A Dream:The Verve Recordings』('94)を聴いてみると、ボブ・ディランがロック・サウンドを取り入れた『Bringing It All Back Home』('65)以前の1964年にはすでに、自作曲にマディー・ウォータースの「Rolling Stone」やウィリー・ディクソン作「Hootchie Kootchie Man」といったブルース・ナンバーのカヴァーを交えながら、エレキ・ギターを用いて弾き語るスタイルが記録されています(ジョン・セバスチャンがハーモニカ。ベースにはフェリックス・パパラルディの名前もあり)

キンクスでヒットした「朝日のあたる家」が1964年9月のチャート・イン。ティムのエレクトリック・バージョンは1964年5月の録音と、こちらもやはりティムの方が先。

ティムの演奏は、いずれもディランやキンクスのような激しいロック・サウンドではなく、あくまでエレキ・ギターを弾き語りに使用しているという程度ですが、すでに一つのスタイルとして完成しています。これは当時のグリニッジ・ヴィレッジの人達の目に奇異に写ったか、それとも敬意を持って迎え入れられていたのか。

いずれにしても、ティムが先進的なミュージシャンであったことは事実。

少なからずディランに影響を与えているのではないか... ディランにエレキ・ギターを持たせたのは、ビートルズでもバーズでもなく、このティム・ハーディンなのではないか...

などと... またまたグリニッジ・ヴィレッジを夢見ながら物思いに耽っています。

1曲目のレナード・コーエン作「Bird On The Wire」カヴァーからいきなり心に染み入ります。染み入るというより、食い込んでくるといった方が適切か。絶唱です。

美しいオーケストレーションが為された「Southern Butterfly」。柔らかいエレピの音色が印象的な「A Satisfied Mind」と続いた後の「Soft Summer Breeze」「Hoboin'」が凄い。スウィンギーなリズム、複雑に入り組んだメロディーライン。ジャズともブルースとも、なんとも形容しがたいサウンド。小刻みに震えるエレピの音色と振り絞るようなティムの歌声 … 相反する2つのものが混ざり合った瞬間、感情の高ぶりを覚えます。

ジョー・ザヴィヌルか、ウォーレン・バーンハートか、どちらが弾いているか聞き分けるだけの知識を持っていないのが残念ですが、そのエレピの音色がアルバムの中で重要な役割を果たしています。もしこれがなかったら、ティムの壮絶とも言える歌声に圧倒されすぎて、聴くのが辛くなっていたかもしれません。

「我が心のジョージア」の斬新なアレンジはどうだろう。音楽をジャンル分けすることが無意味なことを思い知らされます。

そしてラスト曲。別離した奥さんと 2人の間に生まれた子供への思いを歌った「Love Hymn」 自ら歌うことによって自分自身を癒そうとしたのでしょうか。とても刺激的なヒーリング・ミュージックです。

1980年12月... まだジョン・レノンとの別れの悲しみに暮れている間の 29日... ティムもひっそりとこの世を去りました。ジョン … 40才、ティム … 39才でした。

■ member
Tim Hardin (g,vo)

Ed Freeman (g)
Warren Bernhardt (key)
Joe Zawinul (key)
Mike Mainieri (vib)
Tony Levin (b)
Robert Popwell (b)
Ralph McDonald (per)

■ produce
Ed Freeman

■ songs
Bird On The Wire (Leonard Cohen)
Georgia On My Mind (H.Carmichael / S.Gorrell)



Jennifer Warnes / Famous Blue Raincoat ('87)
Famous Blue Raincoat

全曲がレナード・コーエン作品のカヴァーというジェニファー・ウォーンズのアルバム。ジェニファーの歌声には筆舌に尽くしがたい美しさと表現力が備わっています。バック陣も超豪華。スティーヴィー・レイ・ヴォーン(g)、ロベン・フォード(g)の共演他...豪華ゲスト陣は こちら をとくと覧ください。各メンバーが脇役に徹している姿も美しい。
また、スティング&ザ・チーフタンズが「Sisters Of Mercy」、ビリー・ジョエルが「Light As The Breeze」を、という秀逸なカヴァーが収録されているレナードへのトリビュート盤『Tower Of Song:The Songs Of Leonard Cohen』('95)も良い出来。詳細は こちら を。


Bleecker Street:Greenwich Village In The 60's ('99)
Bleecker Street: Greenwich Village In The 60's

グリニッジ・ヴィレッジに縁の深いミュージシャン達の歌を、新進気鋭・中堅どころがカバーするという趣の深い企画盤。アルバム・プロデュースがピーター・ゴールウェイというのも嬉しいじゃありませんか。元歌を知らなくても楽しめてしまうのは、元歌自体が素晴らしい曲である証拠。ロン・セクスミスが歌うティム・ハーディン作「Reason To Believe」には然も有りなんといった具合ですが、意外な取り合わせと思えたジュールズ・シアーが歌うラヴィン・スプーンフルの「Darling Be Home Soon」に感嘆。ジュディ・コリンズの「Since You've Asked」を歌うベス・ニールセン・チャップマンの歌声に聴き惚れ、ポール・ブレイディが歌うケルティック風味のヤング・ブラッズ「Get Together」が面白い。その他の楽曲とパフォーマーは こちら を。

テーマ : 洋楽CDレビュー
ジャンル : 音楽

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TIM HARDIN / BIRD ON A WIRE 紙ジャケ

夏休みも終わり、明日から仕事です。会社行きたくないなぁ・・・・で、休み最終日の今日は、ゆったりと本を読んだり、音楽を聴いたりして過ごしました。そんなリラックスしたひと時に聴いてたのがこのアルバム。60年代半ばから活躍しているSSWのティム・ハーディンが、71年

BIRD ON A WIRE(電線の鳥)/TIM HARDIN(ティム・ハーディン)

この1月23日に数種の紙ジャケ化アルバムが発売されていましたが、特に個人的に興味高かったのが”ラヴィン・スプーンフル”(初期4作)と、この”ティム・ハーディン”(初期ヴァーブ期)の各アルバムでした。 今回はこのティム・ハーディンがCBSコロムビア時代...

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Tim Hardinのこの作品は最近になって購入しました。
彼の曲や名前はもちろん知っていたのですが、
この凄いバックメンバーに惹かれちゃいました。
Joe ZawinulとWarren Bernhardtの違いですが、
ファンキーなのがジョー、端正なのがウォーレンではないかと思います。(多分)

フィルさん♪

そうなんですよね。僕も知った名前のメンバーが参加しているとついつい手が出てしまって...

>Zawinul と Bernhardt の違い
「Soft Summer Breeze」が Zawinul で、「A Satisfied Mind」が Bernhardt … という感じでしょうか? そういえば、フィルさんが以前 紹介されてた Bernhardt のアルバムも聴いてみたいな♪

ジェニファー・ウォーンズ・・・

こんにちわ。
いきなりのTB(ティムハーディン)失礼しました。
またジェニファー・ウォーンズですが、個人的に最近彼女が初期に発表したアルバム”ジャニファー”を購入をしまして、レナード・コーエン作品のカヴァー・アルバムになる本アルバムもあまり興味は薄かったのですが・・・(やっぱり!?)面白そうですね=^^

失礼いたしました。

sihukuさん

初めまして。コメントをありがとうございました。

>”ジャニファー”
調べてみてみて吃驚。デビュー作と2ndの 2in1 ですね? こんなのが紙ジャケCD化されていたとは知りませんでした!

情報を提供していただきありがとうございました。廃盤になる前に入手したいと思います。

僕の所はかなり更新が停滞していますが、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

こんばんわ。
返信ありがとうございます。
>”ジャニファー”
ですが・・・ボクが購入したのは通常のプラ盤でしかも元は輸入盤仕様の日本語解説が付けられているものでした。なのでジャケも残念ながら大した印象もなくちょっと残念に思えました。
それでも個人的にも彼女の初期の楽曲を聴きたかったので一応に満足です^^

いきなりで失礼かとも思いましたが・・・誠に勝手ながら自身のブログにリンクを貼らせて頂きました!もし、問題があるようでしたらお知らせください!ませ。
今後もどうぞ宜しくお願い致しますm(_ _)m

sihukuさん

リンクの件、ありがとうございます。僕も sihukuさんのBlogをリンクさせていただきます。

今後も情報交換よろしくお願いいたします。

はじめまして、「3度のメシよりCD」さんのブログから辿り着きました。今後とも宜しくお願い致します。
ジェニファー・ウォーンズのレナード・コーエンのカヴァー・アルバムはどれも素晴らしい曲ばかりなのですが、デヴィッド・リンドレーのスライド・ギターをバックに歌う「Coming Back To You」を特に気に入っております。この曲はトリビュート・アルバムではトリーシャ・イアウッドが取り上げており、そちらも好きです。
ピーター・ゴールウェイがプロデュースしたオムニバスが出ていたんですね。最近国内盤が発売されないベス・ニールセン・チャップマンがジュディ・コリンズの曲を歌っているのはとても興味深く思います。

Backstreets さん

はじめまして。コメントをいただきありがとうございました。

ジェニファーは、まだ『Famous Blue Raincoat』しか聴いたことがないので、他のアルバムも聴き進めて行きたいと思っているところです。

>オムニバス
この手のCDは、1,2度耳にしただけで飽きてしまうものも少なくありませんし、肝心のピーターが歌っていないのが、ちょっと残念ではありますが、これは深い1枚だと思います。

ジェニファー、ベス、ジュディ … 清楚ながらも芯の強さが感じられるという共通点がありますね。Backstreets さんは、その辺りがお好みでしょうか?

今後とも、どうぞよろしくお願いいたします!
Profile

ocean

Author:ocean
◆ 2009年10月
Sony DSC-HX1 写真を撮り始める
◆ 2010年4月
PENTAX K20D でデジタル一眼デビュー
◆ 2014年6月
PENTAX K-5IIs へ機種変更
◆ 2014年10月
OLYMPUS OM-D E-M10 追加入手

その他、中学生の頃に井上陽水、The Beatles、Eric Clapton で音楽の素晴らしさに目覚めて以来、ず~っと聴き続けています♪

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